カイソ

2011.6.5に下北沢、代沢に爆誕したカイソ。

不動産屋からはここでは商売は難しいよと言われたが小学校が近くにあったからお母さん方が来てくれて地域に馴染むだろうて事とたくちゃんの好きなレコード屋が下北沢にあったのが物件の決めてとなった。案の定2年位はなかなか厳しかった。チラシを作って毎日ポスティングしまくったり毎日昼も夜もロスったパン食べたり。インスタもまだなかったし店の前を通った人にいかになんだここは?寄ってみようかなと思わせるかを日々あーでもないこーでもないとバチバチに揉めながら営業していた。でも自分達が作ってるものに妥協はなくおいしいものを作ってコツコツ真面目にやってれば大丈夫という漠然とした自信はあった。雑誌に載せてもらったりsnsでではなくまずは自分達で出来ることを考えて来てくれた人達に楽しんでもらいたい精神でいた(いる)。たくちゃんは特にその精神が半端ない。看板を描き始めたのも好きだからもあるけど来てくれた人達に楽しんでもらう為。音楽も時間とかその日の天気とかその時店にいる人が好きそうな曲をかける。パン焼いてんのに。djかよそんな事よりパン焼けよって思う時もしばしば。そうやって自分達が思う面白いとか楽しい事、お店の為になる事、お客さんに来てよかったと思ってもらえる事を地味にコツコツ(地味コツ)としていったらいつの間にか10数年経ってたくさんの面白い人達、お客さんが来てくれるようになった。営業スタイルやパンの種類、色々あって色々変わってきたけどパンの美味しさとたくちゃんのパン、お店に対する探究心はどんどん、どんどん増していって、体力とパンの種類と数はどんどん減ってくのにお客さんはどんどん増えていく。ジレンマ笑

でもその現実がカイソでたくちゃんが今までやってきた全ての答えなんだと思う。私は3年前にカイソを去って新たに自分のお店を持ったけどカイソはやっぱり私の人生のほぼ全てをかけてあの場所から全てが始まって今の自分がいるかけがえのない場所。無くなるなんて思ってなかった。もうあの場所にカイソが無くなるのか。もうあの道を歩いてもカイソは無いのか。そっかー。店にも生命は宿ると思う。カイソは生きてる。その場所で長く人々に親しまれて愛されて活き活きしてる場所を無くしてどーすんの。あーあ、下北開発してる奴らセンスねーなー。まじで。あーあ、だっさ。しょーもなー。でも大丈夫、たくちゃんならどこにでも活き活きした場所を作れるからこれからのカイソが楽しみである。

14年間ありがとう。

2025.8.18 カイソ 代沢編完結